【徹底解説】Dolby AtmosとDTS:Xの違いについて解説

ホームシアター

はじめに

おはようございます、カラカルです。

今回は、立体音響の規格である「Dolby Atmos」と、「DTS:X」の違いについて解説していく。

立体音響とは、前後左右のサラウンドに加えて、上方向からの音を加えたサラウンドの規格である。例えば、映画の中で雨が屋根にぶつかるシーンや、航空機が頭上を飛んでいくシーンなどで、しっかりと上から音が聴こえる仕様になっている。

その立体音響において、現在メジャーな規格が「Dolby Atmos」・「DTS:X」の2つなのである。両者とも優れた規格ではあるが、それぞれちょっとずつ違いが存在する。本記事では、それらについて解説していこうと思う。

両規格についての違いについて知りたい人や、これから立体音響対応のサラウンドシステムを構築しようとしている人の役に立てば幸いである。

Dolby Atmos

引用:Wikipedia

基本情報

Dooby Atmosとは、ドルビーラボラトリーズが開発した規格であるDolby Audioの一種で、オブジェクトオーディオに基づくサラウンド方式である。

オブジェクトオーディオとは、スピーカー毎に音を設定するのではなく、音を発する物体「オブジェクト」を位置情報として持っておき、その位置から音を発するスピーカーを演算するシステムである。

例えば、右斜め後ろに動いている車を設定すれば、後ろと右にあるスピーカーが良い感じに音を出してくれるのだ。

スピーカーの配置が多少適当でも、音を出すシステム(AVアンプなど)がそれを正確に認知していれば、ある程度のクオリティの立体音響を実現することが可能だ。

現在ではホームシアターはもちろん、映画館でもDolby Atmos対応の劇場が増えてきており、立体音響にこだわった上映を楽しむことができるようになってきている。

サポートするスピーカー数

劇場用と家庭用で多少異なる。

劇場用では最大64chまで対応しており、最大128個のオブジェクトを同時に管理することができる。128個の位置情報を基に、映画館で音の空間を作り上げているのだ。

家庭用では最大9.1.6chまで実現可能である。この9.1.”6“の部分が、天井にあるスピーカーの数となる。この辺りは、出力するAVアンプの仕様によって変わってくる部分でもある。

家庭用では天井スピーカーの設置は難しいかもしれないが、天井に設置しなくても上下方向の音を出すことのできる、「イネーブルドスピーカー」というものにも対応している。これは、天井に向かって音を出して、反射音で上から聞こえるようになるといったものだ。

引用:SONY

トールボーイスピーカーの上に置ける仕様になっているものがほとんどなので、設置にも困らないだろう。

他にも、ヘッドホン用に作られている規格も存在したりする。

採用コンテンツ

コンテンツとしては、主にBlu-rayである。特に、4K Ultra HD Blu-rayは、Dolby Atmos採用の物が多い。MCU(MARCEL Cinematic Universe)のUHD Blu-rayなんかは、初期の2作品以外はすべてDolby Atmosとなっているほどだ。

Blu-ray以外でも近ごろでは出てきている。Amazon Prime VideoやNetflix、Disney+などの映像配信サービスなどでも採用している作品が増えてきているのだ。

また、Xboxなどのゲーム機でもDolby Atmosは採用されてきており、立体音響でゲームを楽しむことも可能となってきている。

互換性

Dolby Atmosの特徴として、互換性が高いという点も挙げられる。もちろん元々Dolby Atmosの規格で作られた作品が最も親和性が高いのだが、Dolby Audioの他の規格の音源を拡張することもできるのである。

例えば、「Dolby True-HD」や、「Dolby Digital」などの下位規格でも、Dolby Atmos仕様にアップグレードしてくれるのだ。昔の古い映画やゲームなんかをDolby Atmos対応の音響であれば、当時より優れた音で楽しむことができるだろう。

DTS:X

引用:Wikipedia

基本情報

DTS:Xとは、DTS社が提供するDTSデジタルサラウンドの規格の一種である。DTSとは、デジタル・シアター・システムズ(Digital Theater Systems)の略称である。

Dolby Atmosがオブジェクトオーディオなのに対し、DTS:Xは従来のチャンネルベースの方式とオブジェクト方式を組み合わせたハイブリッドな方式となっている。Immersive(没入型) Audioという概念を持っており、リアリティを追求したコンセプトとなっている。

サラウンド方式とオブジェクトベースの組み合わせであり、天井スピーカーの配置に関してはDolby Atmosより厳しくないのが特徴でもある。

サポートするスピーカー数

劇場用のch数は不明だが、家庭用では最大7.1.4chに対応しており、音の精密な強弱や位置の移動を表現することが可能である。

DTS:Xには上位規格である「DTS:X Pro」が存在し、そちらでは最大32chのスピーカーで立体音響を作り上げることができる。こちらは、DTS:X音声フォーマットの音源をそのまま使うことも可能である。

ただし、イネーブルドスピーカーには非対応なことが多い。

採用コンテンツ

採用コンテンツはDolby Atmosと同様に、Blu-rayが主である。DTS:Xに関しては、4K UHD Blu-rayでの採用が主であり、Blu-rayの方ではほとんど見かけない。

また、Xboxなどのゲームでも採用されており、立体音響でプレイすることが可能だ。しかし、Blu-rayを含めてもDolby Atmosほど対応している作品数は多くないだろう。

互換性

Dolby Atmosとの最大の違いは互換性で、DTS:Xは下位の規格をアップグレードさせることができない。「DTS-HD Master Audio」や、「DTS Digital Surround」などで作られた作品は、自動的にそのままの規格で再生されることとなる。

DTS:X対応の音声環境で再生したとしてもアップグレードされることは無いので、ここはDolbyに軍配が上がることだろう。

まとめ

いかがだっただろうか?

上記の説明を観ていくと、Dolby Atmosの方が優れているようには見える。しかし、実際互換性以外はそこまでの差はない。

実際に聴いてみた違いを挙げると、Dolby Atmos音の立体感に力を入れているように思える。一方DTS:Xはあくまでリアリティに力を入れており、実際にそのシーンの音をその空間に再現することに力を入れており、その一手段として立体音響を採用しているように思える。

どちらも美点のある方式であり、サラウンドを組む際には両対応にできるのが大半なので、ぜひホームシアターを組む際には検討してみてほしい。

皆さんの映画ライフが、豊かになることを祈っている。

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