はじめに

こんばんは、カラカルです。
ホームシアターに必要な要素としては、「大画面」と「音響」の2つが主に挙げられる。この二つのうち、「大画面」に関しては部屋の中で可能な範囲で大きくできる。しかし、「音響」に関しては、集合住宅などでは大いに気にする必要があるだろう。なぜなら、隣への音漏れを気にする必要があるからだ。
物件によっては大音量はもちろん、音量がそこまで大きくなくても低音だと響く可能性がある。もし隣戸に音が響いてしまうと、隣人とのトラブルに発展し、最悪の場合警察沙汰になったりする。
また、何もなかったとしても常に隣戸に音が響いていないか気にしながら映画を観ることになるので、全然映画に集中できない、なんてこともあるだろう。
そんな悩みを少しでも軽減すべく、本記事では防音性の高い物件について紹介していく。その中でも、”鉄筋コンクリート壁式構造“という構造に着目して解説していく。
引っ越しを機に家でホームシアターを組んでみたい方などの、物件選びの参考になれば幸いである。
ちなみに筆者は鉄筋コンクリート造のマンションでホームシアターを組んでいるが、苦情は一度も来たことがない。筆者の家のホームシアターについては、下記記事で解説しているので、良かったら参考にしてほしい。
鉄筋コンクリート壁式構造とは

ここでは、先ほどチラッと紹介した「鉄筋コンクリート壁式構造」についての基本情報を紹介していく。
鉄筋コンクリート造とは?
鉄筋コンクリート(RC)は、鉄筋をコンクリートに組み合わせて作られた材料である。コンクリートは圧縮に強い特性を持っており、鉄筋は引っ張りに強いため、両者を組み合わせることで非常に強度の高い建物が作れる。
壁式構造とは?
壁式構造とは、建物を支える役割として、柱ではなく壁が最も重要な役割を果たす構造である。壁で建物を支える関係で、厚みのあるコンクリート壁が至る所に使われることとなる。
柱で支える形式の構造は「ラーメン構造」といい、支えのメインとなる柱の間に石膏ボードなどで壁を作ることが多い。
引用:SUUMO
鉄筋コンクリート壁式構造の防音性
引用:FOR YOU
壁式構造はコンクリートを壁に採用するので、気密性が非常に高くなる。それに伴って、外に音を漏らさないので、必然的に防音性能も高くなる。
また、建物を支える役割をしているコンクリートは厚く丈夫なので、振動を伝えにくいのである。いくら防音対策をしても対策が難しいのが”低音”の対策だが、壁式構造なら低音の伝搬も抑えることができる。
※もちろん遮音力にも限度はある
ラーメン構造でも壁がコンクリートの場合はあるが、枠はコンクリートで壁自体は石膏ボードなどで作られていることも多い。そうなると、隣戸への防音性能は途端に低くなってしまう。
どうやって鉄筋コンクリート壁式構造を見分けるのか?

それでは、どうやって鉄筋コンクリート壁式構造の建物を見分ければよいのだろうか?特徴をいくつか紹介していく。
ノックしても音が響かない
こちらは鉄筋コンクリートの壁を見分ける手法として有名ではあるが、ノックしてみた時に「コンッコン」と響くような音がしたら、それは鉄筋コンクリートではない。
鉄筋コンクリートの場合は、「ペチッペチ」と硬いものをたたいたような音がする。慣れるまで判別が難しいかもしれないので、内見をする際には不動産屋に了承を得て、軽くで良いので壁を確認する癖をつけてみよう。
壁の構造が違う物件に出会えば、すぐに違いがわかると思う。
低階層の建物である
壁式構造の物件については、壁をコンクリートで作る関係上、階数あたりの重量が重くなってしまう。そのため、階数の多い物件は作れないのである。
一般的には、5階以下の建物でないと壁式構造は採用できないため、それを基準にすると良い。ただし、ハイウォール工法という手法を採用している物件では、8階まで壁式を採用することができる。だが、こちらはあくまでも例外であるということを頭にとどめておいてほしい。基本は5階以下だ。
間取りに出っ張りがない
物件紹介サイトなどで間取り図や写真を観た際に、部屋の隅に四角い出っ張りがある場合が多いだろう。それは柱が入っている部分になるので、ラーメン構造の可能性が高い。
間取り図に出っ張りが無ければ、壁式構造の可能性も高いだろう。しかし、不動産屋が柱部分を省略して書いてある場合も大いにあるので、あくまで可能性が高くなる、といった感じで受け止めておいてほしい。
より防音性能の高い物件の要素

鉄筋コンクリート壁式構造が防音性能が高いことはわかったが、他にも防音性能を上げる要素はある。構造がまず鉄筋コンクリート壁式であることに加えて、下記のような要素を含んでいたら、防音性能がより高いといえるだろう。
窓が二重窓
引用:窓リフォーム研究所
壁がいくら分厚くても、窓から漏れる音は構造関係なく考える必要がある。防音性の低い窓から漏れた音が、隣戸の防音性の低い窓から入って隣人に聞こえる、なんてケースも珍しくない。防音カーテンなどである程度の対策は可能だが、そもそも音を通しにくい窓であれば問題はない。
二重窓であれば、とりあえずは問題ないだろう。2重窓は、窓と窓の間に空間を設けており、その要素が防音において大きな役割を果たすのだ。
隣戸がない
当たり前だが、自分の部屋に隣接している部屋が無ければ、上下への音漏れだけを気にすればいいので、防音において考えることはグッと減る。
筆者は鉄筋コンクリート造において真下の部屋が知り合いだったことがあったが、低音がアホほど鳴る映画「ゴジラ VS コング」を爆音で流していても、まったく聞こえなかったという。
隣戸があったとしても、自分が映画を観る部屋と戸境の間にもう1部屋あったりすれば、同様の効果が得られるだろう。
壁式構造の防音性以外のメリット・デメリット

ここまで壁式構造の防音性について話してきたが、物件ということは当然住むことになるので、住居としてはどうなのか?といった情報も必要だろう。そちらについて、いくつか解説していこうじゃないか。
断熱性能が高い
まず気密性が高いということは、断熱性能も高いのである。空調の効率は抜群だろう。夏は部屋の冷気を逃がさないし、冬は暖気を逃がさない。気候的には快適に過ごすことが可能だろう。
耐震性が高い
壁式構造は、いわば大きな箱のようなものなので、耐震性が非常に高い。柱が”線”の組み合わせで支えるのに対し、壁は”面”で支えるので、より頑丈となるのだ。
さらに、壁式構造の物件は低階層な物が多いので、そちらもより耐震性の高さに拍車をかけているだろう。
家賃が他の構造と比べて比較的高い
耐震性が高い・防音性が高い・断熱性能が高い となれば、当然需要は多いものとなる。それに加えて建造にも費用が掛かるので、家賃は必然的に高くなる傾向がある。
真の金持ちは低階層の物件に住むという話を聞いたことがあるが、まさにこれが当てはまっているのかもしれない。
湿気が溜まりやすい
気密性が高い鉄筋コンクリート造では、湿気も溜まりやすくなってしまう。無策で過ごしているといつの間にか部屋にカビが生えている、なんてこともあるだろう。
エアコンの除湿機能を使ったり、それが無理な部屋に関しては除湿剤を置くなどの工夫が必要である。
角部屋だと温まりやすく冷えやすい
先ほど断熱性能が高いといった話をしたが、角部屋については別である。外気温が部屋に影響することは少ないが、コンクリート自体は温まりやすく冷えやすいので、角部屋だったりしたら夏は暑く冬は寒い、なんて事態もあり得る。
角部屋は隣戸が一つ少ないというメリットもあるが、同時に光熱費がかさんでしまうということも覚えておいてほしい。
リフォームに制限が多い
壁が建物を支える役割をしている関係上、壁を取っ払うことができない場合が多い。子供が巣立った後に子供部屋との壁をなくすリフォームをしようとしても、不可能なことがほとんどだろう。
賃貸だとそもそもリフォームはできないが、家を購入したりする場合は、リフォームに関する制限があることも頭に入れておこう。
まとめ

いかがだっただろうか?
防音性の高い”鉄筋コンクリート壁式構造”について解説してきた。費用は少しかさんでしまう特徴があるが、防音性は抜群である。ホームシアターを集合住宅で楽しむにはうってつけだろう。
構造を見分けるポイントについて解説したので、物件選びをする際には参考にしてほしい。
また、集合住宅に限らず、戸建てにも生かせる情報が多々あったかと思う。戸建てで鉄筋コンクリート造はハードルが高いかもしれないが、資金に余裕があれば検討してみるのも面白いだろう。
皆さんの映画ライフが、より豊かになることを祈っている。
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