はじめに
お久しぶりです、カラカルです。
以前からホームシアターにおいて大切な、スピーカーとプロジェクターについて解説してきた。本日はその中で、プロジェクターの投影方式について解説していこうと思う。
プロジェクターの投影方式は、主にLCD・DLP・LCOSの3種類があり、それぞれ映像の特徴・コスト・寿命などが違ってくる。映像の特徴に関しては、映像の明るさが強いのか、動きのある映像に強いのか、コントラストが高いのか など、それぞれの強みや弱みといった部分があるので、それについて紹介していこう。
プロジェクターを選ぶ際には、解像度や大きさ、光源などの情報を見ながら選んでいくことになると思うが、ぜひこの投影方式についても学んで、選ぶ際のポイントとしてとらえておいてほしい。
なお、光源についての比較解説は過去の記事で行っているので、よかったらそちらも参考にしていってほしい。
LCD
引用:EPSON
まず紹介する投影方式は、LCD方式だ。”Liquid Crystal Display”の略称で、ある。要するに、液晶ディスプレイのことだ。光を液晶パネルに通して映像を投影する仕組みである。
メリット
まず液晶なので、テレビ同様に明るい色味が出やすいのが特徴だ。光を発しているので、明るさは申し分ない。
また、市場に多く出回っている方式でもあるので、製品ラインナップが豊富である。自分に合った製品を選びやすいのも、LCDならではの特徴だろう。
家庭用のプロジェクターとして使われていることが多く、値段も抑え目な製品が多い。ホームシアターは何かとお金がかかるが、LCDを選べば製品によってはプロジェクターのコストを抑えることができるだろう。
デメリット
明るい発色は得意なのだが、光を発している関係上、黒の表現はやや苦手である。明暗差が同じ画面で生じているようなシーンでは、黒色がグレーっぽく見えることもあるかもしれない。
また、コントラストについては他の方式より劣ることが多い。映像自体は明るいのだが、色の深みのような部分については、苦手とする分野だろう。
あとは、”スクリーンドア効果“といって、映像の中に格子模様が見えることがある。学校の授業などでプロジェクターを使っているのを見たことがある人なんかは、イメージしやすいかもしれない。近年は改善傾向にはあるが、LCDに存在するデメリットとして覚えてはおこう。
さらに、光を発するということは熱を発するということでもあるので、長時間の仕様には弱いという点にも注意が必要である。
どんな人におすすめか
明るい発色が得意なので、同様に明るい部屋での視聴には向いていることが多い。リビングシアターには向いているだろう。
また、アニメ等のコントラストをそこまで必要としない映像ではコントラスト不足がデメリットとならないので、アニメ鑑賞が主な人にはおすすめかもしれない。
※ただし、近年のアニメはコントラストも中々侮れない作品が多いので、一概には言えない。
あとは、コスト面でのメリットが大きいので、お財布に優しいホームシアターを作りたい人についても、候補に入ってくる方式だろう。
DLP
引用:ViewSonic
次に、DLP方式についての解説である。”Digital Lighting Processing”の略称で、マイクロミラー(DMDチップ)を使って光を反射させて映像を作る仕組みである。高速で色を切り替えるカラーホイールを用いて、単一のチップでもフルカラーを表現することができる。チップを3つ使う構造も存在する。
メリット
まずは、高コントラストな映像が得意なのが特徴である。映画館でも一般的に使われている方式であり、鮮やかな色彩表現をすることができるだろう。
また、動きの激しい映像にも強く、残像が出にくいのも特徴だ。さらに、LCDと比べて長時間の使用にも問題なく耐えることができる。
更に、現在新たに出ているプロジェクターの主流でもあるので、最先端の技術を取り入れた製品が多いのも特徴だ。超短焦点・自動フォーカスなど、便利な機能が付いた製品がそこそこの値段で手に入る。これらは安くはないが、ハイエンドというほど高いものでもないので、コスパは最も良い方式になるだろう。
デメリット
DLP方式の最も大きなデメリットは、レインボーノイズという虹色の残像が見えてしまうことがあるという点である。動きの激しい映像は問題なくこなせるのだが、色合いの変化が激しいシーンなんかだと、人によっては虹色が見えることもあるだろう。見え方に個人差があるので、気にならない人もいるかもしれないが、この点は留意しておこう。なお、近年は改善傾向にある。
どんな人におすすめか
アクション映画や、スポーツを楽しみたい人には、動きの激しさに耐えられるメリットを最大限生かせるので、こちらの方式がおすすめだろう。
また、ハイエンドな製品は高くて手が出ないが、それなりのクオリティのホームシアターを作りたい人には、こちらの方式がおすすめである。
LCOS
引用:SONY
最後に紹介するのがLCOS方式である。”Liquid Crystal On Silicon”の略称で、LCDとDLPのハイブリッド的な方式であり、反射型の液晶パネルを使って映像を投影する。主にハイエンド機に使われる方式である。
メリット
ハイエンド機に用いられるということで、圧倒的な輝度・解像度・コントラストを誇る。映像においては全てのパラメータが高く、隙が無いのが特徴である。
解像度については、真の4Kは家庭用だとこのLCOSでしかほとんど味わえないだろう。他の方式では、主に”画素ずらし”の技術を用いた、疑似4Kで4K映像を再現している。
また、コントラストについては、黒の表現も優秀である。沈み込むような暗いシーンでも、お手の物だ。
また、LCD方式を一部用いているが、光を透過するのではなく反射して映すので、LCD方式で見られるような”スクリーンドア効果“についてはほとんど見られない。
デメリット
まず最初に、圧倒的に高いことがデメリットである。100万や200万円する製品もざらにあり、手が出にくいというのが最大のデメリットだろう。
また、本体サイズが大きく、光源によっては発熱量も多いので、設置に広いスペースを要するということもデメリットとなる。筐体が大きいことによって、天吊りも素人には難しい。高価な物なので、設置は専門の業者にお願いするのが良いかもしれない。
なお、数は少ないが、設置性抜群である超短焦点モデルもあったりする。超短焦点プロジェクターについては、下記で解説しているので、良かったら合わせて読んでみてほしい。
どんな人におすすめか
ハイエンドな製品が多い方式なので、お金をかけてでも本格的なシアターを組みたいという人にはおすすめだろう。一生もののシアタールームに導入するには、ぴったりの方式だ。
選んでこだわりぬいた一品を、生涯大事に使うということには向いているだろう。
まとめ

いかがだっただろうか?
ここまで3つの方式について紹介してきたが、筆者としておすすめなのはDLPモデルから入り、知識とお金を蓄えてから、それでもほしいと思ったらLCOS方式に切り替えるといった導入方法である。
LCDはDLPに比べると安いかもしれないが、コストを抑えつつクオリティの高い製品が出てきているDLPに比べると、やはりコスパに劣るところがある。
また、クオリティがずば抜けているLCOSだが、100万円なんて最初に導入するにはハードルが高すぎると思うので、まずはDLPで組んでみるのが良いだろう。もしかしたら、DLP方式であなたは十分満足できる人かもしれない。
映像体験を積みながら、少しずつ勉強していって、自分に合った方式を選べるようになるのが吉だろう。
皆さんの映画ライフが、より豊かになることを祈っている。
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